【低コスト再造林試験 中編】「大苗の低密度植栽」による生育やコストの結果はいかに

全国森林組合連合会と農林中央金庫によって、2020年に始められた「低コスト再造林プロジェクト」。どのようなメリットが期待できるのだろうか。現時点での実証実験の成果を見てみよう。

大苗を疎植
造林コスト半減目指す


もう一つのポイントが大苗の低密度植栽だ。

根元を含めて50cm程度まで成長させたコンテナ育苗の大苗をヘクタール当たり通常の半分に当たる、1500本植栽して植え付けの労力を低減。さらに植栽時に苗木用の粒状植物活性剤を根元に散布して成長を促し、植栽後、下刈りが多くとも1〜2回で済むことを目指す。

今回の実証試験では中国原産ヒノキ科の早生樹「コウヨウザン」を植栽木に選定し、育林期間をスギの平均的な伐期より20年短い30年に設定した。

淡田部長はこう話す。「コウヨウザンは日本ではなじみが薄いが、中国では最も多く植栽されている樹種。植栽後30年で主伐する場合、1ha当たり400〜500㎥の材積を得られる見通しで、50年生のスギと比べても遜色ない収量を期待できる」。

また早生樹ながらヒノキとスギの中間のような材質を持ち、建築材としても十分使えるという。


都城森林組合が2020年末に植栽した1haの試験地では、伐採や集材作業と一体化した植栽や大苗の活用、植栽時の施肥などが効果を上げ、現在は1m40cm程度までコウヨウザンの苗が成長した。

「昨年は下刈りをしていませんが順調な生育です。今年も下刈りはしないで済むと思います」。

昨年までに植え付けを終えた根羽村と三次地方の両組合も今年の下刈りは予定しておらず、試験地の見回りを兼ねた苗回りのつる切りなど最小限の作業にとどめる方針だ。

こうしたメリハリをつけた施業による効果を、淡田部長はこう説明する。「再造林コストや伐期までに必要な育林コストを、順調にいけば半分以下にできる見込みです」。

教えてくれた人
全国森林組合連合会 組織部長
淡田和宏さん

取材・文:渕上健太

FOREST JOURNAL WEBより転載

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