育林コストの削減や育林期間の短縮効果が魅力の「低コスト再造林プロジェクト」。一方で課題も見つかっている。プロジェクトが普及するポイントはどこにあるのだろうか?
獣害対策が鍵!
全国的に高まる関心
一方、根羽村森林組合の試験地では、苗に被せている獣害対策資材がニホンジカによって外されて食害を受けるケースが相次ぎ、本年度に苗の補植を検討している。
淡田部長はこう話す。「シカはコウヨウザンの苗木を特に好むようだ。効果的な獣害対策を探っていきたい」。
また東北などの寒冷地はコウヨウザンの生育に適さず、代わりにスギ苗を活用した低コスト再造林が向くケースもあるという。
そうした中、今年3月にオンラインで開いた低コスト再造林のシンポジウムには行政や林業関係者など全国の約700人から視聴希望の申し込みがあり、関心の高さをうかがわせた。
淡田部長は次のように意欲を見せる。「低コスト再造林の施業方法は、コウヨウザンに限ったものではないが、今回のプロジェクトでは、試験的にコウヨウザンを採用した。低コスト再造林の普及と並行して最初の伐期を迎える30年後までにコウヨウザン材の国内市場をつくる必要がある」。
従来の再造林の手法を大きく変える潜在性を持つ低コスト再造林プロジェクトに今後も要注目だ。
教えてくれた人
全国森林組合連合会 組織部長
淡田和宏さん
取材・文:渕上健太
FOREST JOURNAL WEBより転載