いまスマート化を進めるべき本当の理由<前編>

スマート林業は、事業体にどんなメリットをもたらすのか。今回は北信州森林組合の業務課長、堀澤正彦さんにお話を伺った。堀澤さんは、航空機によるレーザー測量のほか、ドローンによる資源量調査にも積極的に取り組んでいるという。

サプライチェーン全体の生産性向上をめざして

「私たちが森林経営のデジタル化に取り組み始めたのは、今から10年以上前のことです。もちろん当時は、“スマート林業”なんて言葉はなかったですけれどね。スマートという言葉もちょっと飽きられ始めているので、最近では“これからの林業に必要なのはDX化だ”なんて言ったりもしています」。

そう笑うのは北信州森林組合の業務課長、堀澤正彦さんだ。同組合が林産を主軸事業に据えたのは平成20年。当初の生産量は年間4000㎥程度だったが、5年後には2万㎥にまで急成長を遂げる。

「集約化の成果ですね。ただ集約化は、事前の調査に大変な労力がかかります。かといって、調査を簡略化すると、今度は計画の精度が落ちかねない。何かいい方法はないかと探るなかで出会ったのが、航空機によるレーザー測量でした」。

解析を担ったのはアジア航測株式会社。堀澤さんは「メッシュ単位ではなく、単木単位での解析技術を有しているのは、アジア航測さんだけだった」と選定理由を明かしてくれた。ここで得た高精度の森林資源情報が、施業計画の基盤となっていく。レーザー測量には「思わぬ副産物」もあった。

「赤色立体地図です。これもアジア航測さんの独自技術なのですが、実は導入前はどう活用すればいいか見当がつかなくて(笑)。でも実際に使ってみると、これほど地形を直感的に理解できる地図はありません。航空写真には映らない、古い作業道も一目瞭然です」。

アジア航測の赤色立体地図で事前に山林内の地形を把握しておくと、現地踏査が格段にスムーズに進められる

高精度の森林資源情報という強力な武器を手に入れた同組合だったが、ひとつだけ課題も残った。それは「間伐後に資源情報をいかに更新するのか」という問題だ。そもそもレーザー測量は非常にコストが高く、ひとつの事業体が単独で何度も実施できるものではない。しかし、そのまま放置し続ければ、せっかくの資源情報が現実と乖離したものになってしまう。

「そんなときに紹介していただいたのが、信州大学の加藤正人先生。レーザー測量のデータ解析にかけては右に出る者のいない加藤先生の力を借りながら、航空機よりも安価なドローンで資源情報を調査できないか、模索していきました」。

取り組みをスタートしてから約3年。現在では航空機を用いるのと遜色のない精度で、ドローンによる資源量調査が可能になった。

「ドローンには航続時間が短く、広い面積の測量には適さないという弱点もあります。だから今後も基盤になるのは航空機による測量データ。その上で、間伐後は小回りのきくドローンを用いて資源情報をアップデートしていく。そういった運用を目指して取り組みを進めています」。

文:福地敦
FOREST JOURNAL vol.6(2020年冬号)よりより加筆・修正

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