活用方法は無限大! 多様化する森林計測ツール

急速に進む林業のICT化を追い風に、多様化する森林計測ツール。材積推定や施業提案に加え、路網設計や完了検査支援など活躍の場面が広がっている。それぞれの特徴を押さえよう。

活用方法は無限大!
多様化する森林計測ツール


林尺やナンバーテープ、野帳などを携えて林内を踏査しながら行うのが一般的だった森林計測。産学官による林業のICT化の取り組みが進む中、ここ数年でデジタル技術の活用が急速に進んできた。

特に3GレーザスキャナーやGIS(地理情報システム)を取り入れた新たな森林計測ツールは、森林計測業務の省力化と低コスト化、高精度化に大きく貢献。計測データを専用ソフトに取り込んで3D表示させることで「森林資源量の見える化」を実現させた。

施業に必要な情報の入手はもちろん、森林所有者への施業提案に客観性と説得力を持たせることで、林地集約化業務も大きく後押ししている。傾斜や荒廃地などを考慮した安全性が高い路網設計や、行政による検査業務の省力化、地場産材のブランド化推進など、計測データの活用方法はアイデア次第で無限に広がる。今や多くの事業体にとって欠かせない存在になりつつある新たな森林計測ツール。現場の面積や工期、予算などを考慮して最適な手法を選びたい。


1. ヘリ・航空機を活用した森林計測
大面積を精密に計測!


鉄道や道路といった大規模インフラ整備や産業分野で長い歴史を持つヘリや航空機による測量技術。森林計測の分野でも近年、活躍の場を広げている。無人ヘリや航空機に最新鋭のレーザスキャナーを搭載し、100ヘクタール規模の大面積の山林を精密に計測できるのが特徴だ。異なる角度から複数回レーザを照射することで解析の高精度化を実現。森林資源量の把握だけでなく、詳細な地盤標高データの取得による安全性の高い路網設計や、縦横断図の解析による路網作設時の移動土量抑制の検討も可能だ。

さらにGISの活用による架線集材時の集材範囲や土場開設位置の検討、先柱や元柱の設置位置の設計支援など、現場目線に立った計測データのさまざまな応用が進められている。


2. ドローンを活用した森林計測
抜群の小回り 短時間で計測&解析!


優れた機動性で、1ヘクタール程度の小面積から数百ヘクタールの大面積まで計測可能なドローン。操縦しやすく、安全性が高い機体への改良が図られ、低価格化も進んでいる。このため林業事業体でも導入や操縦者育成の動きが盛んだ。

計測データを取り込む専用の解析ソフトの普及で、林分材積や樹種判別データといった林分情報のほか、伐採による売上見込みなどの豊富な情報を、高精度かつ低予算で入手できるようになってきている。手軽に飛ばせる利点を生かし、松くい虫被害木や災害調査の現場でも活躍中だ。また自治体が過去に行った航空レーザ計測の更新や、施業後の行政による検査業務の省力化も期待されている。


3. 脚式レーザスキャナーを活用した森林計測
誰でも使えて持ち運びも簡単!


 林内での持ち運びに適した軽量コンパクトなデザインで、免許や資格などの専門知識がなくても使えるのが地上型の脚式レーザスキャナーの大きな特徴。3Dレーザスキャナーによるスキャンを林内で繰り返し、森林資源量を推定する。

操作はシンプルだが、専用の解析ソフトによる計測データ解析の迅速性と精度の高さで多くの事業体の支持を獲得。市販のプレゼンテーションソフトと併用して林地集約化業務での山主への施業提案に活用している事業体もある。「スマートグラス」などのウェアラブル端末と組み合わせることで、立木の計測データを現場で照合・確認し、間伐時の選木支援などに役立てる新技術の開発も進められている。


【まとめ】

多様化する森林計測ツールは、森林調査の大幅な省力化と森林資源量把握の高精度化、そして林地集約化業務の推進を大きく後押ししている。森林調査やデータ解析といった事務作業に人員を割きにくい事業体の力強い味方だ。

ICTを積極活用する新たな業務は、若者の林業に対するイメージを変え、新たな人材を林業界に呼び込む可能性もある。さまざまな森林計測ツールの登場と進化に今後も注目したい。

森林計測に関連する企業

株式会社アドイン研究所

AI・ITの利活用による産業への社会貢献を推進してきています

株式会社ForestEye

ドローンを用いた森林資源の計測・解析サービス

アジア航測株式会社

航空レーザ計測による森林資源解析データを活用した森林資源管理

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