植栽後、植えた苗木が大きく育つまでには、さまざまな労力がかかっている。そんな作業の効率化をはかりながら再造林を行うために最適な商品が登場した。
苗木の成長促進と
作業負担の軽減を目指す
再造林の過程で、伐採・地拵えの次に行われる植栽。急斜面で苗木を一本一本植えていくが、作業はそこで終わらない。苗木を大きく育てるには、周囲の雑草を刈る「下刈り」を年に1〜2回実施する必要がある。また、植えたばかりの苗木をシカやイノシシなどの野生動物に食べられないよう、植栽と同時に「獣害対策」も行う。
これまで、すべての苗木に筒状の保護材を設置するなど物理的な対策を講じてきたが、重労働であるうえ、獣害は変わらず深刻な状況だ。
そんな植栽に関わる作業負担やコストの軽減を目指し、国土防災技術では2つの製品を開発した。苗木の成長を促す植物活性材『フジミン®Forest』と、物林と共同開発した唐辛子を使った獣害対策資材『カプスガードプラス®』だ。
「植栽後、苗木がまだ小さいうちに、いかに野生動物に食べられないよう育てられるかが重要」と国土防災技術の秋山さんは話す。
苗木を大きく育てる!
『フジミン®Forest』
『フジミン®Forest』には、土壌中のミネラルを植物が吸収しやすい状態にして運ぶフルボ酸が高純度で含有されている。光合成を活性化し、成長を促す効果が期待できる。
「苗木の成長点を雑草よりも高くすることで、雑草に光が届きにくくなり、雑草の増殖を抑えることができます。実証実験では、年に1〜2回行っていた下刈りが不要になったエリアもありました」と秋山さん。
下刈りの低減に!
フジミン®Forest
粒状の植物活性材。
植栽時に苗木の根元に20粒ほどまいて使う。降雨で溶けることによって、フルボ酸と肥料成分が土壌にしみ込み、効果を発揮。苗木の生育を促し、成長点を雑草よりも高くすることにより、下刈り回数の軽減につながる。
価格:¥12,500(10kg/袋)
フジミン®Forestでこんなにも大きくなる!
国土防災技術・試験場内でのバミューダグラス生育比較。無投入の区画に比べ、適量を投入した区画では緑量も多く全体的に草丈が揃っていた。フジミン®Forestによる生育促進がわかる。
国土防災技術株式会社
効果抜群!《植物活性材》で
苗を大きく育てる!再造林低コスト化にも
低コスト化を実現!
『カプスガードプラス®』
『カプスガードプラス®』には、被害の減少や作業負担の軽減などの手応えを感じているという。
「動物が苦手な唐辛子の辛み成分を混ぜた液状の資材で、植栽時に噴霧器を使って苗木に直接吹きかけて、コーティングします。動物が口に含んだ際に辛み(痛み)を感じ、苗木に近寄らなくさせる仕組みです。従来の獣害対策に比べ、作業コストが大幅に削減できました」(秋山さん)。
シカが食べない!
カプスガードプラス®
昨年から実証実験を行っている獣害対策資材。
国産の唐辛子の辛み成分と定着剤を組み合わせた液体資材で、植栽時に苗木に20秒ほど噴霧して使う。苗木の成長に伴い、再度噴霧する場合もあるが、単木保護や柵設置に比べ、短時間・省コストでシカやイノシシによる被害を防ぐことができる。
※2022年9月発売予定
害獣が嫌がる”辛み成分”を撒いて苗を守る!
兵庫県淡路・実証実験区にて。夜間、シカが資材をまいた苗を舐めた後に立ち去る様子。
これまで、労力も時間もコストも大幅にかかっていた苗木の育林に関わる下刈りと獣害対策。実力が証明されたこの2製品の活用が、全国の森林で広まっていくことで、低コストで省力化された再造林が進んでいくだろう。
『カプスガードプラス®』についてのお問い合わせは、国土防災技術まで!
国土防災技術株式会社
効果抜群!《植物活性材》で
苗を大きく育てる!再造林低コスト化にも
文:鈴木ゆうこ
FOREST JOURNAL vol.12(2022年夏号)より転載